Career Leaves ブログ

キャリアプランを真剣に考えたいあなた、失敗しない転職活動をしたいあなたと向き合い、共に考えます。

キャリアの転機に立ち向かう

キャリアとは仕事だけでなく私生活を含め、生きかたそのものであることを、前回のコラムで説明しました。人はそれぞれ、自分の「幸せ」を目指して生きています。長い人生の過程では、仕事や私生活の変化、状況の変化に伴い、私たちはさまざまな選択の場に立たされます。

キャリア研究者のジェラッドは、かつてのキャリア開発はいわば「山登り」のようなもので、目的地が明確であり、その山は動かない。しかし現代社会は変化が激しく、「激流を筏(いかだ)で下る」ようなもの。状況が常に変化し将来が不確実である現実を受け入れ、過去の経験やスキルにすがるだけではなく、これからの自分のキャリアを組み替え、創造する柔軟な姿勢が大切と述べています。

実際、IT技術の発達とグローバル化に伴い、企業もビジネスもかつてないほどの早さと激しさで変化しています。自社を支えていた花形事業がすたれ、新たな分野が脚光を浴びるようになることはよくあります。かつての花形部門にいた方は、その部署にいることが約束された出世コースでした。状況が変われば、今度はそうではなくなります。エンジニアは腕が命です。しかし、努力して培ってきたプログラミング言語や手法はやがて陳腐化し、日々、新たな技術を身につけなければ第一線の技術者ではいられません。インターネット業界に至っては、1ヶ月前にセオリーだったやりかたがすでに過去のものになることがしばしばです。

予想外の変化が現実に起きたり、期待した変化が起きなかったりします。その結果として生じる仕事や生活の変化に、私たちはどのように対処すればよいのでしょう。

キャリア研究者のシュロスバーグは、人生にはさまざまな転機が断続的に訪れ、それを乗り越える努力や工夫によってキャリアが形成される、と言います。つまり、それらキャリアの転機をどのように捉え、どのように乗り切るか、考え得る選択肢の中から何を選び、どう立ち向かうか。そのプロセスで自分らしいキャリアが形成されるのです。シュロスバーグは、キャリアの転機に直面した際、以下4つの分析が必要と述べています。

①転換の影響度

これまでの役割、人間関係、日常生活をどの程度変えなければならないか。

②転換のタイミングはどうか

このキャリア転換は自分の人生の中で時期的によいか、わるいか。十分な準備期間はあるか。

③自己コントロールできるか

外的状況に依存したり人頼みではなく、転換をどの程度自分でコントロールできるか。状況に応じた複数の選択肢はあるか。

④影響の持続性は

転換により生じる状況は一時的か、それとも永続的か。

そしてシュロスバーグは、キャリアの転機に対処する第1ステップとして、4S点検を勧めています。

①状況(situation)

このような状況が起きた原因は何か。一時的か永続的か。過去の対処経験は活かせるか。その問題以外に抱えているストレスは。この状況をチャンスと捉えているか、危機なのか。

②自己(self)

その仕事の重要性、家庭や趣味とのバランスはどうか。変化に自分はどう対応しようとしているか。対処しようとしている自分に自信はあるか。人生にどんな意義をもっているか。

③支援(support)

他人から支援してもらえるか。前向きな指導をしてくれるアドバイザーはいるか。必要に応じて経済的支援などを得られるか。対処に必要な情報をえられるか。

④戦略(strategy)

職探しや必要なトレーニングなどを実行しているか。現状をプラス思考で考えているか。ストレス対処できているか。

さらにキャリア転換の第2ステップとして、4S点検に基づき、ライフキャリアの危機を好機に転換させる具体的戦略を練り、実行に移すよう述べています。

人生において、幾度となく訪れる転機。選択肢はさまざまであり、絶対的な正解はありません。自分が何を考え、どの道を選び、どう対処するか、それにより自分のキャリアが決まるだけです。そんな分かれ道に差しかかった皆さんと向き合い、共に悩み、その人らしい自律的なキャリアのありかたを考える。それが私の仕事、と考えています。

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