Career Leaves ブログ

キャリアプランを真剣に考えたいあなた、失敗しない転職活動をしたいあなたと向き合い、共に考えます。

理想のコンサルティングを目指して

ずっと前、私がまだマニュアル制作の仕事をしていた頃の話です。デザインAとBを比べて、ほらAの方が全体が締まるでしょ、という感覚的な説明しかできないデザイナーが多い中で、一人だけ、デザイン理論としてなぜA案が締まって見えるのか、を構造的に説明できる方がいらっしゃいました。素人の私は質問攻めで、その方からいろいろブックデザインの基礎を教えていただきました。

「僕が考える理想のデザインとは、何もデザインしないけれど、強調したい情報が目立ち、全体がすっきりまとまっているもなんだ。」

その方がおっしゃっていた、忘れがたい一言です。つまり、余計な装飾がなく、何も仕事(デザイン)をしていないかに見えて、見やすく、読みやすく情報が配置されているのが、彼が考える理想のデザインということです。Simple is best. 我が意を得たり、と当時私も大きく頷いたものでした。

私が現在取り組んでいるキャリアコンサルティングでも、似たようなことが言えると今は考えています。キャリアコンサルティングでは、ご本人の仕事上またはキャリア形成上の課題を軸に、話題は結婚生活、子育ての悩み、人生そのものとライフ・キャリア全般に及びます。それらの課題とどう向き合い、何を問題の根源と捉え、どう対処するか。考えるのも、行動に移すのもご本人です。ご本人が問題の本質を理解し、アクションを起こせるようにすることがコンサルタントの役割であって、ああせい、こうせい、と指図したり、説教することではありません。

では、どうすればご本人が自ら問題の本質を理解し、アクションを起こせるようになるのか、というと、他人であるコンサルタントに、これが答えです、と言われて自覚することではないような気がします。自分自身で考えて、問題のありかを切実に実感しなければ、対処のアクションを起こす気にはならないと思うのです。

私共のキャリアコンサルティングでは、その、本人の自覚を目指して、さまざまな角度からお話を伺い、問答形式でいろいろな質問を投げかける試みをしています。そのやり取りを通じて、ご本人が自分の課題を少しずつ整理し、時に自覚していなかったことを意識上に浮かびあがらせ、自己発見的に課題のありかを突き留め、対処法を考えるように促しています。《自己発見的》学習法です。

コンサルタントからは何もアドバイスをもらわなかった。でも、話しているうちに、不思議と自分の課題が明確になって、これからどうすればよいかも自ずと分かってきた。すっきりして、なんだか気分がいい。」そんな風に、相談者の方からおっしゃっていただけることが、私にとって、理想のキャリアコンサルティングです。

コンサルタントとして何もアドバイスしていないにも拘わらず、相談者ご本人が課題解決の糸口を見い出し、自ら解決に向けてアクションを取ろうと一歩踏み出すようになる。道はまだほど遠いですが、何事も少しずつですね。

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