Career Leaves ブログ

キャリアプランを真剣に考えたいあなた、失敗しない転職活動をしたいあなたと向き合い、共に考えます。

自分史、それから

前回まで、3回に渡り、筆者自身が自分史を書く作業を通じて考えたこと、編年体でまとめた自分史を《働く動機》という観点から再構成した結果を紹介してきました。筆者がお手本となるようなすばらしいキャリア形成の道を歩んできた、などと考えてはおりません。自分史を辿る作業は、どうしても独りよがりになりがちです。自分に都合のよい独善的な思考で書いていないかと不安が一杯で、公開するのは恥ずかしく、それでも勇気をふり搾って書きました。新聞記者志望から、マニュアル作りに出合い、人材紹介に転じ、一見脈絡のない職業を体験しつつ、キャリアコンサルタントに辿り着きました。いずれの仕事でも、人と人とが分かりあうためのコミュニケーションのありかたへの関心と、ささやかでも人に貢献することへの喜びという動機を原動力にしてきました。随分遠回りしたようにも見えますが、すべてが必然的偶然だったと改めて実感し、個人的には納得しています。

長い職業人人生の過程で、何度かこうした振り返りの作業が必要なのだと改めて実感しています。子供の頃の自分を振り返ってみると、20代の頃に定義した子供の頃の自分と、30代、40代、50代で改めて振り返り定義したときの子供の頃の自分は、幾分異なる像となって現れたりしました。忘れていた記憶が不意に蘇ったり、ある出来事がそれまでとは異なる角度で理解できるようになったり、以前は受け入れられなかった出来事が受け止められるようにもなりました。一つひとつの仕事の記憶または解釈も同様で、あの時の自分がこんな選択をしたのは、過去にあの布石があったからなのだ、と点が線に繋がるように結びついてゆきました。そして、それは明日へのベクトルになる可能性をはらんでもいます。こうして改めて自分の職業歴、または職業という切り口から自分史を辿ってみたことで、自分が何者なのか、前よりも少しは見えてきたような気がします。さらに、自分がこれからどこに行きたいのかも、今は文字に表現できるほど結晶化してはいませんが、おぼろげながら見えてきた気がします。

職務体験の「棚卸」は、仕事の内容、成果・実績、その業務から学んだことなどに焦点を当てます。より本質的な働く動機をつきつめる、つまり、自分のキャリア形成の方向性を確認するためにはそれだけでは不十分、と第一回目に書きました。それを補完する、または自律的なキャリア形成を考える車の両輪になるのが、仕事の棚卸と自分史の分析ではないか、と今は考えています。答えは自分自身のなかにしかないからです。

私の思考はまだまだ発展途上で、今回は試論の段階です。単なる自己満足、自己肯定ではなく、過去の自分を受け止めてこれからの自分に繋ぐためにはどのような思索が求められるのか。明快な答えは見いだせない命題かもしれませんが、いずれまた報告できる日がくるかと思います。この一連の拙文が、読者の皆さんが自らを振り返り、明日を考えるきっかけになればと願っています。皆さんが考えたこと、ご意見をお寄せいただけると嬉しいです。