Career Leaves ブログ

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20代の方向転換:適職を求めて

新卒から3年で約3割の方々が転職する時代になったと言われて、もはや久しいです。筆者を含め、終身雇用を信じて疑わない時代に社会に出た方々、言わば昭和の若者には理解しにくいことかもしれません。中には、最近の新入社員は自己主張ばかりで義務を果たさない、根性がないと憤慨なさる方もいらっしゃるでしょう。しかし、働くことの実態を経験していない段階で、ぼんやりした意志や希望で選択した企業または就いた職業ですので、むしろ当然の動きではないでしょうか。数年実地で働いてみて、自分の向き・不向きが少し見え、違うと思った方々の一部が、直接行動に出ただけのことです。

かつて終身雇用が万能だった時代、中途採用の門戸は狭く、転職はそう軽々に考えられるものではありませんでした。違うと感じても多くの方々は現職に踏み留まり苦労しつつ壁を突き抜けてその人らしい遣り甲斐を見つけたり、不満を抱えたまま自分に折り合いをつけて現職企業で仕事を続けてゆきました。終身雇用制の崩壊と共に、転職市場は上位マネージメントや経営幹部などのシニア層、一部の優秀な、特殊技能をもつ人材ばかりでなく、30代前半、さらには20代後半の第一線の人材に拡がり、さらには第二新卒という採用枠ができ、今や転職は若い方々にも一歩踏み出せば実現できる選択肢になりました。

人材紹介業の興隆、インターネットという求人・転職ツールの発達がそれに拍車をかけました。もちろんその手軽さが落とし穴でもあり、自身の適性やキャリアプランを明確にしないまま転職を煽る潮流に乗せられ安易に転職し、転職先で違和感を感じたり、短期で転職を重ねる不幸な結果を招く方々がいるのも事実です。そうした弊害があるにせよ、20代の若い時期にやり直し、キャリアチェンジの機会が増えたことは悪いことではなく、むしろ望ましいことだと考えています。要は、それまでの職業体験を踏まえて自分の適性や志向を見極めたうえで転職という選択肢を取ることを決断し、適切な転職先を選んでいるかどうかの問題です。

新卒で入社する企業は、社会人または職業人としての人格形成の場でもあります。旧来型の日本企業に入られた方は、上司と部下、先輩と後輩の人間関係の中で組織がどのように動くのか、新人がどのように教育されその企業の色に染まっていくのかを体験することでしょう。ドラスティックな外資系企業に行かれた方は、その逆といいますか、自己主張の仕かたや自分の成果へのこだわりの厳密さを体験するかもしれません。そうした企業カルチャーを是として自分の社会人としての人格や身の処し方として身につけるか、反面教師として自分はそのようにはならないと思うかは人それぞれです。

たとえば、新入社員のトレーニング体制が十分でなく、個人の努力と自主性を重んじる企業に身を置いた方の中には、人には頼れない、スキルは自分で獲得するものだという独立自主の意識を強くする人もいらっしゃるでしょうし、逆に、自分が仕事を覚えるのに苦労した体験から後輩たちのケアに気を遣う意識を高める人もいらっしゃるでしょう。大切なことは、自分が体験した「会社」という世界の価値観や行動様式は、その企業固有のものであって他の企業ではあてはならないこと、少なくとも全ての企業に当てはまるものではないことを認識することです。

個人で事業を営む方をはぶき、若者の大多数はまず「就社」します。その会社の色に染まる人、折り合いがつく人はそのまま就社が就職になりますし、そうでない方は自分らしい就職先を求めて転職または転社します。