Career Leaves ブログ

キャリアプランを真剣に考えたいあなた、失敗しない転職活動をしたいあなたと向き合い、共に考えます。

転職活動の修正・不採用理由から課題を明らかにする

相談者のプロフィール

川島氏(仮名)は37歳のシステムエンジニア。名門私立大学の理系を卒業後、あるシステム開発会社で主にデーターベースエンジニアとして業務システムの開発、運用の仕事に携わっています。転職歴はありません。事前にいただいた職務経歴書から判断すると、プログラマーからシステム設計をするSE(システムエンジニア)、開発プロジェクトを管理するプロマネ(プロジェクトマネージャー)と着実に経験の幅も拡げてこられた方です。

転職を考える動機・悩み

現職の仕事は企業の情報システム部門に常駐派遣されるSEの仕事です。彼なりにスキルを身につけ、現場でもプロマネとして頼りにされる立場になりました。ただ、いかに派遣先で評価されても、彼は派遣先企業の正社員ではありませんので、改善したいことがあっても思うようには進められません。プロジェクト単位で数年毎に派遣先も変わりますので、その企業の業務知識を身につけ、貢献できるようになった頃に次の職場に変わらざるを得ません。

単なる開発エンジニアではなく、これまでの経験を踏まえて、企業の情報システムや業務の改善に繋げる役割に、自身のSEとしてのキャリアを拡げたい。そのためには、現在のシステム開発会社ではなく、継続して1社のシステムに取り組めるよう、事業会社の情報システム部門の社員になりたいというのが、川島さんの転職の動機です。

課題の明確化

川島さんは多忙な業務の傍ら、初めての転職活動をこの数カ月進めています。5社ほど応募しましたがたいてい書類審査は通っても、二次面接あたりで不採用になってしまうのだそうです。

転職活動をしていて、なかなか思うような結果に結びつかない場合、不採用の理由を分析するのが早道です。当たり前のことですが、先方が不採用と判断する理由のなかにご本人の転職活動の本質的な課題があることが多いからです。たとえば、ご本人の能力をうまく伝え切れなかったことが原因だとすると、職務経歴書の記載内容、面接での受け答えなどを修正すれば、今後うまく進む可能性が高まります。ご本人の経験やスキルに合わない、または能力以上のパフォーマンスを期待されているポジションに応募しているのが原因だとしたら、その能力は変えようがありませんので、今後の応募方針を転換しなければなりません。

今後の対応策

企業が中途採用者に期待することは、一言でいえば「即戦力」です。第一の課題、ご自身の経験、スキルに合わないポジションに応募しても先に進まないのは致しかたのないことです。川島さんの職務内容を詳しく伺うと、データーベース設計中心の経験で、ネットワークやインフラ構築の部分が弱いことが分かりました。企業内の情報システム部門の場合、ネットワークを含め全般的な知見を求められるポジションと、ある領域の経験を求められるポジションがありますので、今後はデーターベース中心の仕事、つまりご自身の経験を活かせるポジションに絞って応募することが大切です。

エンジニアの方々には、ご自身のポリシーといいますか仕事へのこだわりをお持ちの方、初対面の相手にはフレンドリーな対応が苦手な方など、良くも悪くもクセのある方がよくいらっしゃいますが、私が川島さんにお会いした印象は温厚、誠実そうで、コミュニケーションミスで同僚と対立するようなことがない方に見受けられました。反面、優しすぎて頼りない、と誤解されがちな方と思いました。この人柄が災いして、第二の課題であるストレス耐性の不安に繋がっているのでしょう。しかし、彼の優しい人柄は美徳と言えても欠点ではありません。要は、誠実で優しい人柄を活かしてこのように関係部門とうまく調整してきた、プロマネとしてこのように修羅場をくぐり抜けてきた、というご経験を適切に説明することです。そのためには、川島さん自身がこれまでの仕事を棚卸して、改めて職務経歴書というドキュメントにまとめ、そのプロセスでご自身のアピールポイントを再確認することが必要です。

転職活動の姿勢

もう一つ、大切なことは今後の転職活動のスタンスです。川島さんは1社に十数年、真面目に勤めてこられた方であり、転職を繰り返すことで成長するタイプの方ではありません。30代後半というご年齢からも、今後安易な転職を繰り返すのは得策ではありませんので、半年くらいの長めのスパンで活動し、10年後も継続してその企業に勤務できるイメージを持てる会社を選ぶことが、転職を成功させるポイントです。そのために、どんな条件、環境の企業であれば長く働けるのか、を明確にすることもお願いしました。