Career Leaves ブログ

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的確な受け答えが求められています

筆者が面接に同席した30歳前後の若いキャンディデイト(候補者)の、面接でのひとコマをいくつか紹介します。

(a) マーケティング候補の事例

面接官: ABC大学に留学なさっていたのですね。
候補者: はい。
面接官: 専攻は何ですか?
候補者: マーケティングです。
面接官: マーケティングといっても広いですが、具体的には?
候補者: はい、インターネットでのマーケティング手法を専攻しまして・・・。

質問に簡潔に答えているといえばそうですが、適切な受け答えといえるでしょうか。「留学なさっていたのですね」というフリの質問で面接官が聞きたかったことは、具体的にどんなことを学んだのか、ということでしょう。実際、ABC大学に留学してマーケティングを学んだことは履歴書に記載されており、面接官も既知のことです。つまり面接官は質問を3つして、やっと期待する情報に辿りついたことになります。その結果、関係者を巻き込んで仕事を進めていくには大人しすぎる、積極性に欠ける人物では、という印象をもたれてしまいました。面接後、この候補者にこのやり取りのことを聞くと、どのタイミングで、何をどこまで具体的に説明すればよいのか、ペースがつかめなかったと話していました。

(b) 営業候補の事例

面接官:前職の営業成績について説明してください。
候補者:はい。06年度は予算を120%達成し、07年度は130%で社長表彰を受けました。

営業職にとって、能力を端的に示すものとして数字は大切です。(a)の例と似ていますが、面接官が聞きたいことは何%か、ではなく、その数字の意味です。目標予算以上の成果を挙げるのは大変なことです。どのような工夫や努力によりその数字を達成できたのか、を説明しなければ、候補者自身の営業センスや能力は伝えられません。それを質問されてから答えるのでは、営業職としての資質を疑われかねません。なかには、自慢話めいたことを話すのは潔くないと感じ、自ら進んで答えないという方もいらっしゃいますが、自慢することと、成果とその成果を挙げるに至った根拠を整理して表現するのとは別の次元の内容です。自分がマーケットの状況をどう捉え、どのような営業戦略で臨み、顧客のニーズにどう応えたのかを説明することは自慢話ではないはずです。

(c) 人事候補の事例

面接官:あなたは人事担当として新卒の採用に取り組んでいたのですね。何が最も大変でした?
候補者:はい。応募者が大勢おりましたので、面接の日程調整に苦労しました。

面接官はこの答えを聞いて、内心、ガクッときたそうです。聞きたかったことは、この候補者が、短時間の面接で人材の採用/不採用を判断しなければならない現場で、何に悩み、工夫し、どう取り組んできたかということ、つまり人事担当としての資質でしょう。その答えが、面接の日程調整が大変、ではあまりに悲しすぎます。候補者本人は、頭にパッと思いついた表面的な苦労の記憶を不用意に口にしてしまった、と悔やんでいましたが。

(d) SE候補の事例

面接官:(転職歴を見て)○○会社は1年で辞めていますが、これはどういうことですか? 候補者:○○会社での経験は私にとって無駄ではなかったと思っています。△△プロジェクトを経験し勉強になりました。

この候補者は何事もポジティブに捕らえることを意識している方でした。短期で辞めはしたが勉強になった、ということを伝えるのは悪くないのですが、面接官が聞きたかったことにストレー トに答えておらず、逃げている、何かを隠している、言い訳がましい、という印象を面接官にもたれてしまいました。まず何を期待してその企業に入り、なぜ辞めたのかを答えてから、何が勉強になったかを説明すると、相手にも伝わり、無駄な経験ではなかったというよい印象になったのですが。

面接というプレッシャーがかかる状況で、瞬時に質問の意図を汲んで的確に答えるというのは、口で言うほど易しいことではありません。しかし、前項で説明したように、面接で質問されること、相手が聞きたいことは、どんな企業、どんなポジションでもだいたい共通しています。初対面の面接官に、短時間で理解してもらえるように、論理的な説明を準備しておけば、あまりナーバスになる必要はありません。

仮に、相手の期待とはピントがズレた答えを返してしまったとき、たいていの場合すぐに、しくじったと気づくはずです。そのときも、焦る必要はありません。「ご質問の意図は・・・でしたか?」と確認し、改めて答えればよいのではないでしょうか。面接は短時間の勝負ではありますが、答えのし直しは十分認められると思います。