Career Leaves ブログ

キャリアプランを真剣に考えたいあなた、失敗しない転職活動をしたいあなたと向き合い、共に考えます。

自分をPRしていますか

職歴の詳細部分がまとまったら、それらを語る前に盛り込みたい情報について考えてみましょう。順序が逆のように思われるかもしれませんが、職歴の詳細がきちんと整理できていないと、これから説明することを的確にまとめることはできません。

あなたのことを何も知らない採用担当者、日々送られてくる職務経歴書の山を前にうんざりしている採用担当者の立場で考えてみてください。手にした職務経歴書が、氏名の次にいきなり詳細な職歴の説明文が延々と並んでいたらどう思いますか。あなたは、この候補者はこれまでどんな経験があって、何が得意で、面接するに値する人物かどうかを迅速に判断したいはずです。職務経歴書の1ページ目に、そうした判断材料になる情報が端的にまとめられていたら、その候補者の能力に期待感を高め、仮にそれに続く詳細な職歴が4ページ、5ページあるとしても、真剣に読もうと身を乗り出すのではないでしょうか。

世間に出回っている職務経歴書のフォーマットがそうなのか、いわゆる「自己PR」や「得意なこと・主な経験・スキル」を最終ページに書く方が多いです。しかしこれらは、あなたの《売り》を端的に示す情報であり、転職のためのプレゼン資料として、最も大切な情報ではないでしょうか。読み手が身を乗り出す職務経歴書にするために、1ページ目にこそ、それらの情報が必要なのです。職務経歴書というプレゼン資料の言わばサマリーです。職務経歴書の1ページ目を割いて、以下の3つのテーマで、あなたが職務経歴として表現したい100%のものを、できるだけ凝縮して簡潔にまとめてみてはいかがでしょう。

① 略歴

どの会社で何をし、次にどの会社で何を担当し・・・、という具合に簡潔に記載した、5行くらいに収まる量の略歴です。転職回数が多い方は、すべての企業名を羅列する必要はありません。それらの情報は履歴書にもあります。大切なのは企業名を羅列することではなく、あなたがどのようなキャリアプランで、どのように仕事の幅を拡げ、または深めて今日に至ったのかを簡潔にまとめるのがポイントです。あなたのことを何も知らない採用担当者があなたの職務経歴書を手にし、最初に書かれている「略歴」に数秒間眼を走らせて読み、あなたがどこでどんな仕事を経験してきて、その先の記載も読む価値のありそうな方であることを採用担当者に掻い摘んで知ってもらうための情報です。

② 得意なこと

職務上、あなたが得意なことを説明する、言わば自己PRの部分です。「SWの法人営業が得意です」、「○○系のアプリ開発に精通しています」、「大規模組織のマネージメントで実績がありま す」、のような一言で、10項目くらいPRポイントを羅列なさる方もいらっしゃいますが、箇条書きでレベルの情報では具体性がありません。得意というからには証拠が必要ですし、読み手が知りたいのは、どんなスタイルで、どのレベルでできるのか、そのイメージです。過去の業務での具体例や実績を交えながら、どのように得意なのか、どのくらい得意なのかがイメージできるように文章で書きましょう。たとえば、「このような状況の元、このように業務を遂行して成果を挙げた、だから自分は○○が得意と言える」というような切り口で考えると書くことがイメージしやすいかもしれません。そのためには1つのポイントにつき、5〜7行必要と思います。さらに項目が多すぎては、採用担当者はポイントが絞れませんので、最も伝えたいポイント3つに絞るのが効果的です。

営業職の方でしたら、採用担当者が最も注目するのは実績ですので、過去の主要な実績とその成果を挙げるに至った根拠が「得意なこと」の1つになります。自分の営業スタイルの特徴について事例を交えて表現すれば、人柄を含め理解してもらえやすいでしょう。SEの方でしたら、スキル面の得意領域をポイントの1つとして記載すべきですし、開発プロジェクトにはトラブルや遅延が付きものですので、そうした事象にどのように対応できるのかをアピールするのも効果的ではないでしょうか。マネージャー層の場合は、業務上のスキルや実績のみならず、経営陣やマネージメント層との相性も選考の重要な要素になりますので、自身のマネージメントスタイルも明確に記載すべきでしょう。あなたがどのような役割のポジションに応募するのか、その役割に求められる能力、人物像を踏まえて、アピールしたいポイントを考えてみてください。

③ 今後の希望

最後に、②を踏まえて今後どんな仕事をしたいのか、希望する仕事の内容や役割など、できるだけ具体的に定義してください。これは5行以内くらいが目安です。まずは、自分の理想形とする希望を書いてみてください。応募する企業が具体的に決まったら、そのポジションに合わせて自分がどのように貢献できるか、または貢献したいか、という観点でまとめるのが効果的です。特に若い方の場合、今後の希望というと自分のスキルアップの思考が先に立って、こんな経験を積みたい、こんなスキルを身につけたいという観点で書きがちです。しかし、あくまでも職を得るための職務経歴書ですので、採用する側にどんなメリットが期待できるかという視点で書くことです。

通常、職務経歴書の最初には、氏名・生年月日、職歴の概要(履歴書レベルで、いつからいつまでどの会社かがわかるもの)を記載し、次に職歴の詳細を書く方が多いですが、職歴の詳細の前に、このサマリーを入れて1ページにまとめるのが理想です。あなたのことを何も知らない採用担当者が職務経歴書を手にし、最初のサマリーを読んで、この人材は良さそうだ、と感じていただければ、次ページ以降に記載した職歴の詳細も、期待感をもって真剣に読んでくれるでしょう。

以上、職務経歴書の書きかたというタイトルで説明してきましたが、自分自身を客観的に見つめ、整理し、文章に表現するという作業は、言うは易し、行なうは難しというのも実情ですね。しかし、あなたは何をしてきて、何が得意なのか、それを得意と言える根拠はなにか、そして、その得意な部分を活かしてこれから何がしたいのか、なぜそれをしたいのか、などを自身の中で明確にしてこそ、転職先を探すにあたって自分にふさわしい企業、ポジションはどんなものかを判断できるのではないでしょうか。さらに、職務経歴書をまとめる過程で、あなた自身の考えも整理され、脳裏に定着し、面接でも理路整然とプレゼンできるようになるはずです。

ただし、筆者がここに職務経歴書の書きかたを説明した根源的意図は、書類審査をパスしやすい経歴書の書くためではありません。「キャリアプランを考える」の冒頭で説明した、日々仕事の検証をするという話を思い出してください。長い職業人としての人生、日常は日々の仕事に追われ、自分がしてきた仕事の質を検証する機会といいますか余裕はなかなかないと思います。せめて、転職を思い立ったときくらい、自分の仕事の棚卸をして、自分の方向性を確認していただきたいのです。大切なことは、頭で考えるだけでなく文章に起こすことです。