Career Leaves ブログ

キャリアプランを真剣に考えたいあなた、失敗しない転職活動をしたいあなたと向き合い、共に考えます。

キャリアプランを文書に落とし込みましょう

棚卸の第一、第二段階の作業を通じて、あなたの強み/弱み、これからしたいこととそれを支える働く動機、それを実現するステップなどが頭の中で形になりつつあると思います。でも、ここで満足/安心して思考を止めてはいけません。頭ではクリアなことを、いざ文章に書こうとするとうまく書けなかったり、自分の考えの不十分さに改めて気づくことがありませんか。思考には曖昧さや、中途半端なまま分かった気になってしまうところが多分にあります。キャリアプランを文章に《落とし込む》とは、そうした曖昧さを残したまま頭の中で分かった気になっていることを、さらに一歩進めて論理的に再整理し、自分の意識下に定着させる行為です。

以下の4点を、第三者が読んでも理解できるように具体的に、ご自分のキャリアプランとして文章で表現してみてください。書式は問いません。できること、したいこと、そのポジションに求められるスキルセット、さらにあなた自身の働く動機のフィット感が大切です。

  • - 自分の強み/弱み
  • - 働く動機とキャリアの方向性
  • - 実現の課題
  • - 実行プロセス

では、前項まで題材にしてきた28歳、アプリケーション開発経験5年のSEを例に書いてみます。紙面の都合がありますので省略しながら書きます。「具体的」に書くと申し上げましたが、その度合いや内容のイメージを理解していただければと思います。

強み/弱み

○○分野のシステム開発がエンジニアとしてのコアスキルになる。具体的には・・・の能力を身に着けた。さらに、自分は技術者肌ではなく、メンバーとのコミュニケーションを得意とし、トラブルに対応するリーダーシップを培いつつある。具体例としては・・・。一方で、開発の上流工程の経験や、全体を見渡し先手を打つ、いわばプロジェクト管理能力は不十分だ。さらに、・・・。

働く動機とキャリアの方向性

SEとして当面スキルアップを図る。具体的には開発経験をさらに深め、30代前半で小規模プロジェクトのプロマネ、徐々に大きな案件を手がけられるようになりたい。ただし、自分は技術者肌ではなく、プログラミングなど開発そのものよりもいろいろな人と係わりつつチームで仕事を成し遂げるリーダーシップを取ることに遣り甲斐や喜びを感じ、それがそれがハードな仕事の原動力になっている。また40代以降のことを考えると、最新技術を追い続けるよりも社内情報システムの管理者にシフトするほうが、息の長いエンジニアとして活躍できそうな気もする。この点はもう少しSEとしてのキャリアを積んでから、30代半ばくらいまでに再検討しなければならない。

実現の課題

30代前半でプロマネレベルになるためには、プロジェクト管理能力、マネージメント力をさらに高めるのが第一の課題だ。プロマネとして活躍しているA先輩を見ていて感じるのは、・・・の部分が自分には足りないこと。自分の仕事ぶりを知っている上司からは、・・・とアドバイスも受けている。さらに、プロマネのスキルセットの中で自分がまだ弱いのは・・・。 将来、情報システム部門にシフトすることも視野に入れると、現在担当している○○分野だけでなく、幅広く業務システムの開発に携わること、より大規模な統合システムに携わることも必要と考える。

実行プロセス

プロマネの能力を身に着ける

  • - プロマネのスキルセットの把握:プロマネとして活躍しているA先輩などの動きを観察するなどして、どんなときに何が必要か、リストアップする → 納期:1ヶ月以内
  • - OJT:上記のスキルセットを元に、自分がプロマネだったらどう動くかという思考を働かせながら開発実務に従事する。必要に応じてプロマネをサポートする → 納期:今後のプロジェクトで順次実行
  • - スキルの確認:各プロジェクト完了時点で、達成度を確認しつつ、最終的にプロマネの主要スキルを身につける → 納期:随時

② 幅広く業務システムを経験する

  • - ○○分野以外のプロジェクトに携わる場合、取り組みたいシステムの分野を明らかにする → 納期:半年以内
  • - ○○分野以外のプロジェクトに携われるよう上司に働きかける → 納期:現プロジェクト完了後を目処に

プロマネとして経験を積む

  • - 上記を踏まえ、マネージメントに進みたいことを上司に伝える → 納期:1年後
  • - 小規模プロジェクトのプロマネになる → 納期:4〜5年後

情報システム部門にシフトの是非を検討する

  • - 上記を踏まえ、シフトの是非を検討する → 納期:5年後
  • - シフトするほうがよい場合、転職も視野に入れつつ実現方法を検討し、実行する→ 納期:30代半ば

どのようなレベルで具体化すればよいか、イメージは湧きましたでしょうか。大切なことは、たとえ小さな第一歩でも、今日から実行できる具体的なプランに落とし込むことです。上記の①がそれに当たり、それを今日からコツコツ実行する過程で、あなたの経験やスキルが深まるばかりでなく、新たな発見や思わぬ出合いが待っていたりして、チャンスがさらに拓け、場合によっては予想外の展開になったりします。これこそが自律的にキャリアを拓く《必然的な偶然》なのです。仕事をするのはあなたであり、キャリアプランの実現に向けて行動するのもあなた自身です。

文章に落とし込まれたキャリアプランは、今現在のあなた自身の、職業人としての定義です。《今現在》と申し上げたところがミソで、これはあくまでの今現在の定義でしかありません。実現の進捗状況に応じて、または大きな仕事に区切りがついたとき、結婚や転勤など自分の立ち位置を再確認すべきときに、見直し、軌道修正を図るための座標のようなものです。いつになっても不変の人生観や社会人としての目標があるでしょうし、在籍企業のビジネス環境や経営方針が変わったり、あなた自身の関心事や状況が変わって見直さなければならないときがくるでしょう。変更の必要性を感じたら、勇気をもって見直してください。ただ単に、その場そのときの状況に流されて変更するのでなく、キャリアプランの達成度合い、現実とのズレや変遷を認識し、あるべき人生のベクトルを確かめつつ、軌道修正することが継続的に求められます。

以上が棚卸の話です。拙い説明で、筆者の真意をどこまでお伝えできたか不安がありますし、もっとよいアプローチの仕方もあると思います。自分はこんな観点から棚卸をした、こんなところで悩んでいるなど皆様のご意見やご感想を歓迎します。