Career Leaves ブログ

キャリアプランを真剣に考えたいあなた、失敗しない転職活動をしたいあなたと向き合い、共に考えます。

これからしたいことは何ですか

前項で整理した自分の強み/弱みをベースにこれから自分は何をしたいのか、5年後、10年後にどのような職業人になっていたいのか、その目標は実現可能な妥当なものなのかを検討してみましょう。これが棚卸の第二段階で、キャリア目標を明確にする作業になります。これまでの業務経験に捉われすぎて、たとえば、マーケティングに興味があるが自分は営業しか経験がないからと、初めから諦める必要はありません。かといって、エンジニア経験10年の方がまったく未経験の法務担当になりたいというのは少々飛躍しすぎですが。

前回ケーススタディで取り上げた28歳のSEを例に想定できるキャリアパスを挙げると、主に、現職の開発部門でプロマネにステップアップする道、企業内の情報システム管理・運用部門にシフトする道があります。顧客の要望に応える最前線でチャレンジしたい方は、ITコンサルタントや、プリセールスエンジニアを目指すことが考えられます。それぞれの部門のシニアマネージャーになったり、CIOとして経営に携わったり、起業することが将来のキャリア目標かもしれませんし、マネージメントよりも、最先端の技術者として常にチャンレンジャブルな開発プロジェクトに携わる道を望む方もいるでしょう。中には、SEとしての経験をベースに、エンジニア専門の人事担当や教育担当などにキャリアチェンジを図れないかと考える方もいるかもしれませんね。

観点を変えると、英語力や海外とのやり取り経験を活かしたい方は、海外の開発部門との橋渡し役になるブリッジSEや、外資系企業でのポジションを考えるでしょう。銀行系システムまたは物流システムが得意な方は、それら特定の業界や分野の対象業務を熟知したスペシャリストとして自分の地位を固めたいと思うかもしれません。さらに結婚や出産、子供の教育、親御さんの事情など、プライベートなこともキャリアを考える上で避けてとおれません。ご自分の人生観や価値観から、自分はこういう働き方をしたい、こんな社風の会社で働きたいというアプローチでキャリア目標を考えることも必要でしょう。

では例として、前項の28歳のアプリケーションSEを題材に考えてみましょう。前項の(g)〜(k)を参照してください。彼は○○分野のシステム開発を一通り理解したことに自信をもち、また自分のリーダーシップに可能性を感じ、キャリア目標を現職の会社でプロマネとして貢献することにしたとします。一方で、プロマネとしてのプロジェクト管理能力については、いくつか課題を認識しています。そこで、当面は、開発実務に携わりながら、明確になった課題を克服し、5年後にプロマネに昇格することをキャリア目標にするかもしれません。

別の考えの持ち主であれば、開発の前線よりも、企業内の各部門と調整しながら社内情報システム全体を管理・運用する役割のほうが、自分のリーダーシップを発揮できると考えるかもしれません。その場合、現職の企業内で社内情報システム部門に異動するケースもあれば、転職により実現する道もあります。いずれにしても、今すぐは難しいので、そうしたキャリアシフトを5年後に実行したいと考え、当面は現職に留まり、○○分野以外の業務システムやネットワーク構築などインフラ系に経験の幅を広げたいと希望するでしょう。

ただし、これからしたいことや5年後、10年後のキャリア目標が非現実的なものであっては意味がありません。自分の強み/弱みの「程度」を客観的に、相対的に測ってチェックする必要があります。ソフトウエアエンジニアリングのスキルセットであれば、プログラム言語の○○を何年経験した、といったレベルである程度客観的に測れますが、多くのことは上司や同僚との比較で相対的に判断することになるでしょう。たとえば、プロマネとしてバリバリ活躍している先輩のAさんと一開発担当の自分とで、技術知識や経験、マネージメント力にどんな違いがあり、その違いがどの程度なのか。他社で自分と同程度のキャリアを積んでいる大学時代の同級生のB君と自分とで、どんな違いがあり、どの程度差があるか。そしてそれらの違いや差は、これから経験を積むことで埋められそうなものなのかどうか。

埋められそうな違いや差であれば、それらを克服するステップをキャリアプランで考えて実行すればよいだけのことです。逆にちょっと自分には難しいという判断になれば、キャリア目標の修正が必要です。ただし、自分ひとりで判断してはいけません。上司や前述の先輩Aさんなどに相談してみて、アドバイスを受けてからです。場合によっては、筆者のような人材コンサルタントにキャリア相談という形で話してみるのも手です。さまざまな企業のキャンディデイトの例や、業界全体の動きをそれなりに把握していますので、社内の方とはまた異なる視点でアドバイスできます。

こうして客観的、相対的に分析したり、周囲の方々に相談することで、自分では気がついていない強み/弱みを発見できたり、自分の課題を克服するヒントを得られる可能性も高いと思います。それらを元に、キャリアプランを修正すれば、より確かなものになるでしょう。さらに、上司や先輩に自分の希望を理解してもらうことで、目標に近づくためのサポートを得られやすくなるのではないでしょうか。

自分がしてきたこと、できることの認識、さらに第三者のアドバイスを踏まえて、キャリアのベクトルをまず頭の中に描き、イメージを膨らませてみてください。夢は実現するためにありますので、自分を信じて夢を描くのはよいことです。そして、ご自身の志向とのフィット感、実現に向けてのリアリティ感も大切です。